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TOPICS 2018/12/14 SECRET

SPECIAL COLUMN -1-後編

サロモン・レーシングの現在・過去・未来

後編:新ディレクターが語るサロモン・レーシング再建への戦略

(写真:シルヴァン・デアンドレ)

ここ数年、ブランドとしての軸足をアルペンスキーからフリーライド系に移していたサロモン。その戦略は成功し、ブランドイメージの転換と向上にはつながった。だがその一方で、アルペン・レースの分野では、かつての輝きを失っていたのも事実。もちろん、それなりの強さは維持していたものの、この世界のリーダーではなかった。 そんなサロモンは、昨シーズン大きく舵を切った。ふたたびアルペンスキーに力を入れ、チームの再構築に乗り出したのだ。昨年打ち出された“Sons of a Blast”というコンセプトは、サロモン・レーシング再生に向けた決意表明でもある。シルヴァン・レアンドレは、そのコンセプトを具体化するという大役を引き受けて、レーシング・ディレクターに就任。

 

ーー 最初にあなたの経歴を簡単に聞かせてほしい

レアンドレ 20代の半ばの頃はアルペンレーサーだった。とくに優れたレーサーだったわけではなく、おもにFISレースに出ていたんだ。でもとにかくスキーのことが大好きで、スキーに対する愛だけは誰にも負けないと思っている、そんなレーサーだった。フランスのジュラ県の出身。知っているかな? ジュラ県。スイスとの国境に近く、ジュネーブの北にある地域だ。 ただ、レーサーとしての自分の才能には限界を感じていたので、高校の時から経済学を学んでいた。やがて、スポーツのイベントに関わるようになり、ヴァル・ディゼールやクーシュヴェルのワールドカップなど多くのイベントの運営の仕事を経験してきた。

ーー サロモンとの関わりは?

レアンドレ 7年前にアメアスポーツに入社。すぐにサロモンの担当となった。去年いっぱいで前任のクリスチャン・フリゾン・ロッシュが引退したので、彼からレーシング・ディレクターの仕事を引き継いだ。

ーー フリゾン・ロッシュは、サロモンにとって長年の間ビッグボス的な存在だった。彼の後にこの仕事をするのは、簡単なことでないないと思うけれど。

レアンドレ みんなそう言って心配してくれる(笑)。でもそれだけ挑戦しがいのある仕事だと思っている。彼の功績は偉大だった。アルペンレースの歴史に一時代を築いたわけだから。ただ、最近5年間くらいは、サロモンは他の分野に比べてレースに力を入れてこなかった。何人かの優れたレーサーはいたものの、かつてのような強いチームではなかった。だから僕は彼からチームの再建を託されたんだ。やりがいのある仕事だし、素晴らしいチャレンジだと感じているよ。今のサロモンにとっては、強いレーシングチームを作るとうことが最優先の課題なので、僕にとってはやりやすい環境が整ってもいるんだ。

ーー では、どのような戦略でチームの建て直しをするのだろう?

レアンドレ まずはフランスの中でベースを作りたい。若い優れた才能を見つけ、彼らをサポートする。14~16歳くらいの年代に人材が豊富なんだ。だからまずはフランスのサロモンチームを強くして、これをベースにオーストリア、イタリアスイスなど中央ヨーロッパに広げていく。そう、もちろん日本もだ。

ーー 日本はサロモンにとってどんな存在?

レアンドレ とっても重要だ。日本のサロモンチームのことは、フリゾン・ロッシュからもよく聞いているよ。独自の発展をしてきて、つねに充実した戦力を持っている。それは我々も注目しているし、学ぶべき点も多い。同じような形で他の国々でも、若くて強いチームを作りたい。そしてそれらを統合する形で世界の中でのサロモン・レーシングをより強いものにしていきたい。ただ、今すぐ結果を求めてはいないんだ。すでに完成した選手と契約を結ぶのではなく、若い世代の才能を見出し、それを育てていく。たとえばスロヴェニアのメタ・フロヴァットだ。彼女は昨年のジュニア世界選手権のチャンピオンだが、すでにGSではワールドカップでも第1シードに入ってきた。彼女のような存在を育てていくことが、当面我々のめざしているところだ。そして2022年にブランドランキングで3位になることを目標に頑張っていきたい。

ーー そのためには、選手の発掘・育成と同時に、高性能なマテリアルを供給することも大切だね。

レアンドレ もちろんだ。開発部門と協力し合って、戦闘力の高いマテリアルを選手たちに供給する。サロモンの新しいスキー、ブーツ、バインディング、そしてプレートには、どれも自信を持っているよ。 ーー マテリアルの開発には選手からのフィードバックも参考にすると思うんだけど、そういう意味では、昨シーズンからサロモンチームに加わったジュリアン・リゼローの存在は大きな力になるのでは? レアンドレ 彼の持つ経験は我々にとって非常に重要だ。あらゆる面でストロングな男だし、我々にパワーとさまざまなヒントを与えてくれる。何しろ現役最年長のレーサーだからね。彼と一緒にレースを戦い、一緒にスキーを作っていけるのはとても嬉しいことだ。

ーー 彼はまだまだトップで戦う力があるけれど、一方で今シーズンで引退するという噂もある。本当にやめるのかな?

レアンドレ どうだろう、まだわからない。いろいろな可能性があるだろうね。でもやめてほしくはない。スキー界には彼のような存在が必要なんだ。

ーー 最後にサロモンの新しいコンセプト“Sons of a Blast”(サンズ・オブ・ブラスト)について聞かせてほしい。

レアンドレ いろいろな受け取り方があるけれど、簡単に言えば“Sons of a Blast”というのは、ワールドカップを頂点とするアルペン・レースに関するコミュニティだ。ハイスピードで完璧なターンをしたときに感じる爆発・爆風(ブラスト)のような快感。その素晴らしい感覚をみんなで追い求め、そして共有しようということだ。その点において、トップレーサーも一般のスキーヤーもみんな同じ仲間なんだということ。だからこそ、その頂点にいるサロモン・レーシングは強くなければならないし、マテリアルも最高のものでなければならない。大変な挑戦だけど、素晴らしい挑戦だ。期待していてほしい。

ーー ありがとう、よくわかった。これからも期待しているよ。

(文・写真 田草川嘉雄)

次回の配信をお楽しみに!

田草川嘉雄 たくさがわ よしお

1956年生まれ スキー雑誌の編集者として17年間勤務した後、1998年よりフリーランス。もともとは記事も書く編集者だったが、独立後は写真も撮影するようになり、現在では原稿・編集・撮影を兼ねる。ワールドカップ・世界選手権・オリンピック等の取材を長く続け、夢は日本選手の優勝シーンを自分の目で見届けること。2018年FIS(国際スキー連盟)ジャーナリスト・アワード受賞。

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